左から
オシリス、イシス、ラムセス大王(2世)のカルトゥーシュ、アヌビス

神さま
古代エジプト…エジプトの神さまを知らなければ、話は始まらないのでしょうね。
エジプトの神さまを知れば、もっと楽しめるでしょうね。
世界が始まる前、混沌、深淵、無秩序な、これから始まる生命の根源となるエネルギーを持った…、
それが原初の水。
ただの水ではない。
日本語で『原初の海』と表すのは、おそらくどこまでも続く広さのイメージを伝えるため。
ヒエログリフでは、海ではなく、水です。
| ヌン | 世界の始まる前、混沌(原初の水、深淵) |
| アトゥム♂二重冠(白-上赤-下) | 創造神/のちにラーと同一視 |
| シュウ♂ダチョウの羽 | 大気/大地と天空の間に立ち太陽の運行を守る |
| テフヌト♀雌ライオン | 湿気/ |
| ゲブ♂ガチョウ | 大地/ |
| ヌト♀星 | 天空/ |
| オシリス♂白冠、ヘカ(上)&ネケク(下)、ジェド柱、ウアス杖 | エジプトの最初の王、冥界の王 |
| イシス♀玉座、翼、牛、日輪、ユリ | 豊穣、母性、魔術、治癒、再生、王権の守護者➡︎マリア |
| セト♂正体不明の動物 | 破壊、嵐、砂漠/オシリス殺し。後に改心しラーの航行をアポピスから護る |
| ネフティス♀祠堂 | |
| ホルス♂ハヤブサ | オシリス(父)の仇打ち |
| アヌビス♂黒いジャッカル | 死者の守護、ミイラ作り |
| ラー♂ハヤブサ、日輪 | 太陽神 |
| ケプリ♂フンコロガシ | ラーの別形態 |
| トト♂トキ、(ヒヒ) | 知恵/ヒエログリフの開発、書記の守護者➡︎ヘルメス |
| ハトホル♀雌牛、日輪 | 愛と美の女神➡︎ビーナス |
| バステト♀猫 | |
| メジェド | 謎だけどヒントあり? |
| クヌム♂雄羊 | 創造神/粘土で神々や人間をつくる |
| アメン(アメン•ラー)雄羊 | テーベ(ルクソール)の地方神から、新王国時代ラーと融合し最高神へと昇りつめる。 |
クヌムの雄羊、アメン•ラーの雄羊…後の星座、旧約聖書、新約聖書に影響しているのかな?


気になる単語
| 白冠 ヘジェト 上エジプト |
| 赤冠 デシュレト 下エジプト |
| 二重冠 プスケント 上下エジプト |
| ヘカ 上エジプト 牧畜 杖 |
| ネケク 下エジプト 農耕 脱穀の打ち棒 |
| ジェド柱 バラバラにされたオシリスの背骨 |
| ウアス杖 |
| ハゲ鷲 上エジプトの守護 ネクベト♀(月) |
| コブラ 下エジプトの守護 ウアジェト♀ ウラエウス(様式化) |
| (巨大な)蛇 アペプ/アポピス 混沌から最初に出現(アトゥムじゃないの?) 、邪悪、冥界に住む、ラーの頭を食べるのが目標 |
| アンク 生命、生きること。現世から来世への通行証 |
| ウジャトの目 ホルスの左目。セトに捕られトトに治癒される。完全再生の証。お守り |





『表記の揺れ』っていう言い方良いですね。
なんだか優しい感じがする。
昔の、古代の、海外の…、
を調べていると、いろんな言い方が出てきて。
古代の、エジプトの神さまを調べていると、
古代の中(3000年くらいあるからね)でも年代によって、地域によって、習合されたり、表記はあれど、結局はなんと発音されていたかはわからないし。
ギリシャ語で、フランス語で、英語での表し方。
それをカタカナ(日本語)で表そうとするのだからね。
古事記(712)に出てくる日本の神さまでも難しいのですから。
日本書紀(720)
ゲブの頭にガチョウ?
大地の神、ゲブの頭にガチョウって?
ガチョウ…あのガチョウ?
ニルスのふしぎな旅で見た白くて本当は飛べない鳥の?
といっても、ハッキリとはわからない、曖昧。
似ているのにアヒルっているよね。
順番に調べていきましょう。
1️⃣ では先ずはガチョウとアヒルの違いから。
どちらも家畜化された鳥(家禽)です。
| ガチョウ | アヒル |
| 雁(ガン、カリ)を元に改良 | 鴨(カモ)を元に改良 |
2️⃣ 神さまの頭に家禽を乗せるかな?
私なら…家禽を乗せたくない。
というか、今から4000年、5000年前に家禽であるガチョウっているのかな?
答え : 流石古代エジプト。います。
BC3000年ごろ初期王朝時代には(今から5000年前)には家畜化したガチョウが居ると思われる。
サッカラにある墓の壁画には強制給餌、肥育されるガチョウの壁画があります(BC2500)。(wiki ガチョウ)
組織だったガチョウの大量管理のパピルス、
フォアグラ作りがされているならば、
逆算してBC3000ごろにはガチョウを飼っているのではないかと推測されるというのです。
3️⃣ で、本当にガチョウを頭に乗せてますか?
とはいえ、家禽のガチョウは頭には乗せないでしょう。
すごく美しいとか、よく獲れる、親しみがあるみたいなのをシンボルにしたいよね。
だとしたら…野生のガチョウ?
野生のガチョウって雁の事だよね。
翻訳…、ガチョウってGoose。
もしかして雁もGooseだったりして…。
| ガチョウ | Domestic goose |
| 雁 | Wild goose |
文章の中に『goose』とあった時に、単純にガチョウと訳さずに、全体の流れから『雁』なのか『ガチョウ』なのかを判断するともありました。
おっ‼︎
ならば、古代エジプトの神さまの頭に乗せるに相応しい『Goose』って…。
ナイルグース、エジプトガン、ハイイロガン、
いろんな記事を読んでいると、キーワードになりそうな単語が出てきましたよ。
| ナイルグース/エジプトガン Alopochen aegyptiaca | ハイイロガン Anser anser |
| •アフリカ原産 •古代エジプトではこの種も家禽として飼われていたと思われるが、今は廃れている。 | •ガチョウの原種の一種。 •アマルナの壁画に色彩豊かに描かれている。 |
答え : Goose です
ゲブさまの頭の上で似合うのは、大地の神に相応しい古代エジプトで重宝された鳥、ナイルグースだと思うわ。
エジプト神話 始まり~オシリス復活
世界が始まる前の、原初の水、混沌をヌン。
そこから自分の意志でアトゥムが出現します。
アトゥムは独神。
シュウ(♂)とテフヌト(♀)を一人で産みます。
二人は兄妹であり夫婦でもあります。
二人からゲブ(♂)とヌト(♀)が生まれます。
兄妹であり夫婦でもあり、
大変仲が良すぎていつもくっついているので、お父さんのシュウが間に入ってヌトを持ち上げます。
ヌトはゲブの足を掴んで空間を創りました。
ゲブとヌトからは子どもが四人生まれます。
オシリス(♂)&イシス(♀)…夫婦
セト(♂)&ネフティス(♀)…夫婦
長男オシリスはエジプトの初代王となります。
オシリスとネフティスは不貞をはたらきアヌビスが生まれます。
セトの嫉妬はオシリスを殺す事となります。
セトは豪華な棺桶をつくり、
酒宴の席で『この棺桶にぴったり納まった方にこの棺桶を差し上げましょう』と。
次々に棺桶を試すのですが誰もぴったり合いません。
オシリスが試すと…ぴったり。
それもそのはず。最初からセトはオシリスにぴったりの棺桶を作っているのです。
ぴったりオシリスが納まると蓋がされ、ナイル川に流されてしまいます。
こうしてオシリスは死に、セトがエジプトの王となります。
イシスはオシリスを探します。
流れ着いた棺桶、
生命を司るのオシリスを抱き込んだまま育った木は大きく立派で、そのままで王宮の柱となっていました。
イシスは王宮の王子の乳母なり、信頼を得、事情を説明し、柱の中のオシリスを返してもらいます。
持ち帰って隠しておいたオシリスの亡骸は、
セトに見つかり、切り刻まれエジプト中にばら撒かれます。
イシスはオシリスを集めます。
探索を手伝った神はセベク。
繋ぎ合わせた神はアヌビス…初めてのミイラ。
傷を癒した神はネフティス。
ただ、男根はナイルのお魚メジェド(オクシリンコス)に飲み込まれてしまう。
イシスの魔術で復活したオシリスですが、
不完全なため現世には留まれず冥界の王となる。
イシスはオシリスとの子ホルスを産みます。
先ずは前半戦。
オシリスの死と復活は、枯れ果てた冬の植物と春の新たな芽生えを象徴し(植物神)、
オシリスは頭脳派のトトと共にエジプトの農耕を導きます(農耕神)。
オシリスは初期には、植物神、農耕神、豊穣神の肩書きを持ちますが、
後々、冥界の王となるのですね。
オシリスが暗い緑色の肌なのは、私はてっきり
『冥界の死んだ顔色の悪い色』を表しているのだと思っていましたが、
『植物の色』を象徴しているのですって。
エジプト神話 セト vs ホルス
セトがオシリスを棺桶に入れ蓋をし鉛を流し込みナイル川に流す。
この策略72人の共謀者がいました。
『ん?セトって意外に慕われていたのかしら?』
なんて思ったりして。
そしていよいよ、ホルスが父の仇討ち、
王座をセトから奪還するための挑戦が始まります。
そして、ここでもセトの味方にはラー(アトゥム)が着きますね。
エピソード1️⃣
ホルスはセトに左眼を捕られ、イシス、トト、他の神々によって治癒、再生、完全復活する。
➡︎ウジャトの目
➡︎奪われ回復したことから、欠損からの完全回復(月との関連付け)、守護、再生、健康を象徴する強力な護符となる。
なんだかんだでホルスが勝って王になり、
その後のエジプトの王はホルスそのもの『現人神』だということになるわけです。
ん〜、王権争いより気になる事が出来たので…端折りました。
セトの72人の廷臣(宮廷の役人)とか
共謀者(他国の王、セトを支持する悪人、悪魔?)とありました。
『72』
具体的過ぎて気になります。
1️⃣六十進法12×6…だからなんだって感じ。
2️⃣世界の暗黒面
3️⃣無秩序の力の象徴
太陽暦360日+エパゴメノス5日(秩序の外にある)ヌトの出産…一年
360÷5=72…何故割るのかがわからない
完全なる秩序、宇宙の調和…オシリス…360
混沌、不吉な期間…セト…5
無秩序の象徴…72
セト(不吉な5)がオシリス(秩序360)を倒すために必要な勢力数、無秩序の力の象徴72が使われたのではないかとの考えがあるのだそうです。
オシリス エジプトのナイル川沿いの肥沃な大地の支配 秩序
セト 砂漠、嵐、外国を司る神 オシリスの支配領域の外側 無秩序な領域
72人の共謀者とは
セトの支配する無秩序の領域に属する
オシリスが支配する秩序ある領域を乱したい敵対勢力の象徴である数が72という数で表された。
『72』は単なる敵の人数ではなくて、
古代エジプト人が『オシリス王暗殺…秩序からの逸脱、混沌』という神話を
世界観、暦、数学的に意図を持って表現しているのだとしたら、なんてオシャレな物語でしょうね。
72に寓意を持たせたって感じかしら。
ただ、今、72を調べると、無秩序の象徴というよりは
◉秩序が保たれる数、宇宙的な調和、分割の秩序。
◉旧約聖書出エジプトの『72の天使』より、宇宙のあらゆる力や神の属性、癒し、守護を象徴。
と、真逆な感じがします。
最後に
wikiにはこんな事が書いてありました。
紀元前24世紀には原型が成立したと考えられているが、
古代エジプトで信じられた物語の大部分は失われている。
現在広く知られているのは紀元1世紀にギリシャの歴史家プルタルコスによって紹介された伝説であり、本項もこれに基づく。
このギリシャ版が本来の信仰をどれだけ忠実に反映しているか、
現時点では検証の手段がない。
本項 : Wikipedia オシリスとイシスの伝説
