以前、
『ランタナガマズミ Autumn 03』
でお話しした英語圏の嗜みのといえば、
1️⃣聖書
2️⃣シェークスピア
3️⃣マザーグース(Nursery Rhymes/ナーサリーライム)
4️⃣ギリシャ神話
いろんな分野においてこのアイテムが関わっていることがあるので、知っているといないのとでは、わかる深さが違ってきます。
私の大好きなアルフォンス•ミュシャ。
目を引くポーズの美しい女性。
植物や宝石で飾られた女性や背景がとてもステキ。
シシリーflowerもちょこちょこあるのでね、調べていると楽しくなります。
その中でギリシャ神話に登場する花をピックアップしますね。
以前『シャイツァー』で触れましたアトリビュートや象徴に関わってきます。
アトリビュート : 人物特定のためのアイテム
象徴 : アイテムに意味を持たせる
Rose/バラ
美と愛の女神アフロディーテの象徴
海の泡からアフロディーテが生まれた時、
大地からは、薔薇が生まれました。

四部作。他にカーネーション、アイリス、百合
Pink/カーネーション
学名 Dianthus/ダイアンサス/神の花 は
ギリシャ語の『dios/ディオス/神』と、
『anthos/アンソス/花』に由来します。
カーネーションってすごく神々しい花なのね。知らなかったです。
神話や逸話も一級品です。
◉ギリシャ神話、カーネーション誕生のお話。
女神さまが人間の男に失恋します。
怒った女神さまは男の目をえぐり出し捨てると、そこから花が咲きました。
その花がカーネーションです。
カーネーションの始まりは怖いです。
その花がどのように『神の花』まで上り詰めたのかは、今調べただけではわかりませんでしたが、追跡調査します。
この他はよく見るお話です。
◉ギリシャ神話
美しい娘ソニクスはカーネーションの冠を作り、光明の神、芸術の神、予言の神であるアポロンの祭壇をいつも美しく飾っていました。
しかし彼女を妬む者に殺害されます。
アポロンはソニクスに敬意をもってカーネーションの姿に変えて弔いました。
◉キリスト教において母と子を意味する

カーネーション
四部作。他に薔薇、アイリス、百合
Iris/アイリス
ilia/アイリスはギリシャ語で『虹』のことです。
美しい侍女イリスは、ゼウスの求愛を受けて困り果て、
イリスはゼウスの妻ヘラに相談します。
イリスは七色に輝く首飾りをかけて、神酒を3滴頭上に振り掛けられ、虹の女神になりました。
その神酒の滴が地上に落ちたときに生まれたのがアイリスと言われています。
その後イリスはヘラの忠実な伝令役として務めを果たします。
◉虹の女神アイリス/イリス
四部作。他に百合、薔薇、カーネーション

◉四部作 芸術
詩 : アイリス、月桂樹?
その他には音楽、絵画、ダンス
月桂樹はアポロンのアトリビュート。
アポロンには多くの神格とアトリビュートがあります。
その中でも月桂樹はお馴染みのもの。
その経緯となったギリシャ神話があります。
アポロンがエロスに弓の大きさのマウントを取ります。
怒ったエロスは『黄金の矢』恋に取り憑かれる矢をアポロンへ、
『鉛の矢』嫌悪を抱く矢をたまたま近くにいたダフネというニンフに放ちました。
元々『私は一生独身』と心に決めていたダフネは恋に取り憑かれたアポロンから逃れるため、自分の父親に頼んで自身を月桂樹にしてもらい逃げ切ります。
悲しんだアポロンは月桂樹のダフネに謝罪し身に付けることを許されます。
枝を編んで冠にし、永遠の愛の証として永遠に身につけているのです。
謝罪の受け入れ方が枝でアポロンの頭を撫ぜるのよ。
なんて優しいのダフネ。

芸術シリーズ 詩
Poppy/ポピー
豊穣の女神デメテルの娘ペルセポネが、冥界の王ハデスに拐われます。
娘を失ったデメテルは心乱れ、眠ることさえ出来なくなります。
そこへ眠りの神ヒュプノスが苦しみを和らげようとポピーの花(実)を渡します。
デメテルは心の平安を取り戻し眠ることができました。
◉豊穣の女神デメテル
オリンポス十二神の一柱で、農耕と豊穣、特に麦を司る女神さま。

ルフェーヴル ユティル ビスケット
◉頭に被る花飾りには赤のコクリコ、青のヤグルマギク、白のフランス菊、トリコロールでフランス。
ホップ、麦があるのでビール。
ポスターを見て『フランスのビール』と関連付けられたら上級ですよね。

ムーズ川のビール
◉ミュシャ最初装飾パネル、四部作 四季 夏
夏代表の花コクリコ、ミュシャの故郷チェコの花コクリコ。
チェコ暗黒の300年。
『今は冬の時代のチェコにも、いずれ春は来る』。
四季の中には故郷チェコの歴史と希望がみえます。
日本では合唱曲でお馴染みの『モルダウの流れ』は、音楽家スメタナがチェコを追われなお愛する祖国チェコを思う『交響曲 我が祖国』より。
作品に託して希望を未来につなぎ、スメタナもミュシャも『希望のメッセージ』を人々に届けることを使命として作品を生み出します。
慰め、労り、心の平穏

◉四部作 芸術
絵画 : コクリコ、ジギタリス、虹
音楽 : 釣鐘型の花で忙しく蜜を集める蜂?、竪琴を弾く手、小鳥
詩 : アイリス、月桂樹?
ダンス : ひまわり?蝶々

絵画(芸術より)
◉『Coquelicots』コクリコとあるけど、
チューリップじゃないかな?って私は思っちゃう。

ポピーの女
◉眠り
白いポピー、眠りの神ヒュプノスの衣の色は白。

夜の休息
Canterbury bell/カンパニュラ
夕暮れ時を思わせる鐘、canterbury bell/カンパニュラ。

四つの星 宵の明星
四部作。他には明けの明星、北極星、月。
月には白いケシが描かれています。
ケシのなかでも白いケシは眠りの象徴とされています。
Foxglove/ジギタリス
全知全能の神ゼウスは、神の仕事を疎かにしてサイコロ遊びに夢中になる妻のヘラに怒って、サイコロを投げ捨てジギタリスの花に変えました。
◉描かれている花、ポピーやジギタリス、虹が『絵画』に関係してしていないか探りましたが、今のところ何もみつかっていません。
アトリビュート、象徴、何かあると思ったのですがね。

絵画
◉ジギタリス、夾竹桃?
どちらも毒にも薬にもなる植物。
自然を愛するニンフのネリスは、特に植物を育てる才能がありました。
森で見つけた美しい花オレアンダー/夾竹桃に魅せられ大切にお世話をしていました。
オレアンダーの側で眠りについた時、そこで夢を見ました。
ゼウスが言います。
『オレアンダーは神の加護の受けた特別な花。
花の力を制御するためには試練を乗り越えねばならない。』
第一の試練、美しい花に魅せられて近寄る人々へ警告し、毒から守る。
第二の試練、薬にして、人々を病気から守る。
第三の試練、悪用を企む魔法使いからオレアンダーと自然を守る。
ネリスは見事試練を乗り越え、再びゼウスの前に立ちました。
試練を正しい心と正しい知識を持つことで乗り越えたネリスには、オレアンダーの守護者として癒しと守護の力を約束されました。
今でも語り継がれる美しい花と自然と人々を守るネリスのお話です。
英名はoleander/オレアンダーです。
キョウチクトウの学名はNerium oleander。
Neriumは水を意味するギリシャ語nerosが由来です。
自然では小川や川沿いが生息地だからです。
oleanderは語源学的に月桂樹の『ダフネ』と関係がありますよ。
フランス語でlaurier rose/ローリエローズといいます。

Windflower/アネモネ
美女といえばビーナス/アフロディーテ
美男といえばアドニスなんですか?
知りませんでした。
アッシリアの王子アドニス。
アフロディーテより美しくと言いふらす人間族のアッシリア王とその娘は、神アフロディーテの逆鱗に触れ、
過ちを犯し子を産みます。
生まれた子はアッシリアの王子アドニス。
生まれた時から美しく、アフロディーテは誰にもとられたくなくて、冥界の女王ペルセポネに養育を依頼。
しかし、美しく成長した青年アドニスをペルセポネも気にいり、アフロディーテとペルセポネが争います。
仲裁が入り、一年の三分の一をペルセポネと過ごし、
三分の一をアフロディーテと過ごし、
三分の一がアドニスの時となった。
しかし恋仲となったアフロディーテとアドニスは三分のニを共に過ごす。
これが※季節の起源譚になったという。
(冥界ペルセポネとの時が冬)
ある時、獰猛な猪に襲われアドニスは致命傷を負います。
そこは駆けつけるアフロディーテ。
白い薔薇は駆け寄るアフロディーテの足からの血で赤く染まる。
赤い薔薇は情熱的な愛の証。
死んでしまったアドニスの流した血に、アフロディーテが神酒ネクタルを振りかけると、一輪の真っ赤な花が咲きます。
しかし、風で飛ばされてしまいそうな儚いその花をギリシャのアトモス/風から、アネモネ/風の花になりました。
※『季節の起源譚』説は他にも。
ポピーで紹介しました、
豊穣の女神デメテルが娘ペルセポネを冥界の神ハデスから取り戻します。
しかし既に冥界の食物ザクロを口にしてしまったことから、戻ることのできる期間が制限されてしまいます。
その口にした粒の数4/12(食べた分量1/3)は冥界で暮らすこととなります。
ならば豊穣の女神として働かないとした。
その働かない期間が冬です。

夕べの夢想
何故こうなった?
左のタイトルは
La Femme Aux Coquelicots
コクリコを持つ女
右のタイトルは
La Peinture(from Les Arts)
絵画(芸術より)

コクリコを持つ女

絵画
んー、何処かでタイトルを付け間違えているんじゃないかと思ったけど…。
そういう訳でもないのかな。
おまけ
◉ナツメヤシ
シシリーflower ネコヤナギ/spring6
日本名『シャロの休日』のシュロとは本当はナツメヤシのこと。
ナツメヤシが日本では何者だかわからない時代に
『日本で一番似ている植物は…シュロ』
という事で、聖書の重要な植物ナツメヤシを日本人にわかりやすいように翻訳し今に至る。

ジスモンダ
◉すみれ/spring14
左下の半円状の花束が、てっきり『すみれ』だと思っていたのですが、シクラメンなんだそうです。

モナコ•モンテカルロ