北欧神話

2026.09.15

YouTube鑑賞中、アメリカのレッドウッドの説明で『エルダー』という単語が出てきました。

私の知ってるエルダーはシシリーflowerでお馴染みの…植物のエルダー。

どうやら『エルダー』には他の意味もありそうですね。
調べてみました。

◉尊敬を集める長老
◉伝統、知恵を後世に伝える指導者

なるほどね。
英語圏で育つ人々にとっては共有された感覚みたいなものなのでしょうね。

あゝ、それならば以前調べて記事にした
『ハリーポッター 魔法の杖』で
ダンブルドアの最強の杖の素材は『エルダー』だというのはなるほど選ばれて当然だとわかりますね。

人間の寿命をはるかに超える千年とか二千年それ以上の悠久の時をずっと見守ってきてくれている先生とか先輩みたいな存在を『Elder/エルダー』というのですね。

じゃあね、その謂れの元を調べたくなりますよね。
はい、それが『北欧神話』です。
うすうすは気づいていましたが、やっぱり一度は読んで整理しないとね。

ゲルマンの神話

今の北欧神話のベースはアイスランドのエッダです。
キリスト教に文化が飲み込まれてしまう前に、
古エッダ(詩のエッダ)と新エッダ(散文のエッダ)が書き留められ、二つが守られた奇跡によって北欧神話が今あります。

元々はゲルマン民族の神話です。
スカンジナビア半島の南部沿岸部、
ユトランド半島(現在のデンマーク)
対岸のヨーロッパ(現在のドイツ北部)

⬇︎下の赤、ピンクで塗られた部分が、
ゲルマン民族がアジアからの騎馬民族の襲来で散り散りになる前(ゲルマンの大移動)の、
ゲルマン民族の居住、文化圏を示した地図です。
BC50~AC300となっていますね。

出典:Wikimedia Commons (by Dbachmann)

この後376年アジアの騎馬民族フン族の襲来によって、
ゲルマン民族は各地へ散ります。

大陸ではゲルマンの移動によってローマ帝国が滅び、新しい時代新しい国がつくられていく中、
海の向かう側のスカンジナビア半島はこの動乱の波は控えめでした。

それが北欧神話が純度高く今でも残っている要因の一つなのですね。

ゲルマン民族とキリスト教

古代 ~5世紀ギリシャ、ローマの時代
中世 5~15世紀キリスト教の時代、騎士
近世 15末~18後半❶ルネサンス
❷絶対王政
❸大航海時代
近代 18後半~20半ば革命、民衆、工業
現代 WWII後~グローバル化、冷戦、IT

375年、ヨーロッパのゲルマン民族の東の横腹にフン族が襲来して、
❶東ゲルマン人は西ローマへ逃げ込む…西ローマを滅ぼし(476)東ゴート王国、西ゴート王国建国
❷西ゲルマン人さらに西へ…フランク王国(ドイツ、フランス、イタリアの基礎)
❸西ゲルマン人海を渡りブリテン島へ…イングランドの原型

因みにフン族(出発点はモンゴル高原)は西ローマ帝国が滅びる前には消滅しています。

フン族の大王の描写が残っています。
449年、東ローマ帝国の外交官プリスクスがフン族のアッティラ大王の宮廷で直接会った際の記録です。

背は低く、胸幅は非常に広い
頭は大きく、目は小さくて奥まっている
髭は薄く、白髪が混じっている
鼻は押し潰されたように平らで、肌は浅黒い
豪華な衣装を好む他の幹部とは違い、質素な服と木製の食器を愛用していた

ゲルマン民族は東からの勢力フン族に押される形で散らばりながら、新しい土地で王国を作り上げていきます。

武力の優れたゲルマンですが、
統治するにあたり知恵や道徳、価値観はローマ式を上手く使います。

ローマの文化キリスト教はゲルマンの神話を取り込みながらソフトランディング。
いつしか大陸ではゲルマンの神話は見えなくなっていきます。(5~8世紀)

一方、スカンジナビア半島のゲルマン民族にはキリスト教の勢力が押し寄せる(9~11世紀ごろ)のにタイムラグがあったおかげで、神話を書き留める時間の猶予がありました。
それが『エッダ』です。

北欧神話

ゲルマン民族の神話はキリスト教の波に飲み込まれていきます。

❶大陸(5~8世紀)
❷スカンジナビア(9~11世紀)
❸アイスランド(平和的なキリスト教改宗西暦1000年、移行期間12~13世紀)

9世紀末、ノルウェー王の強権的統治から逃れ移り住み開拓したのがアイスランド。
そこに暮らす者をフリーマン(自由農民)といいます。
王を持たない共和制を敷き、
自分たちのルーツやアイデンティティとして伝統、詩、神話を大切にしていました。

アイスランドにもキリスト教の波が押し寄せます。
一緒にラテン文字(アルファベット)と羊皮紙とインクも入ってきます。
彼らは『ルーン文字』を持っていますが、
石や骨に刻み込む文字で、長文を書くのには適していません。
口伝、話し言葉を大量に書き留める…。
ラテン文字(アルファベット)で12世紀後半~13世紀、自分たちの言葉(古ノルド語)で自分たちの歴史や神話を書き留めます。
飲み込まれる寸前でした。

それが『エッダ』と『サガ』。
北欧神話はいくつもの奇跡が重なり残されたエッダとサガが元になっています。

びっくりしたのは、『サガ』の中でヴァイキングが既に北米大陸(ヴィンランド)へ到達していた探検記があるというのです。

『赤毛のエイリークのサガ』

空想、伝説のお話と思われていましたが、
1960年に史実だとわかる発見がありました。
西暦1000年ごろの、確かにヴァイキングの集落跡、船の修理場、鍛冶場、織物、青銅製プローチがカナダのニューファンドランド島で発見されたのです。

遺跡名をランス•オ•メドー。
コロンブスより500年も前にヴァイキング(ヨーロッパ人)が北米大陸に渡っていたことを証明する物理的な集落遺跡であると、
ユネスコ世界遺産に登録されています(1978年)。

なんだかシュリーマンが発見したトロイア遺跡みたいですね。
今ちょうど、映画『オデュッセイア』の日本上映が始まったばかりなのよね(2026.09.11〜)。

伝説、神話が全くの作り話ではなくて本当にあったことを描いた歴史物語だなんて…。
わくわくしますね。

さぁ、北欧神話を読む下準備は終わり。
どんな素敵な本に出会えるかしら。

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