映画 オデュッセイア

ありがとシシリー

2026.10.06

コロナの頃、本を読みました。
この頃はまだ、ギリシャ神話の神さまのお名前を数柱(?)しか知らずに読み始めたものだから、
それはもう大変な事になりました。

トロイヤ戦争のバックグラウンドを知らず、
兎に角、大勢すぎる登場人物に苦戦して、
意地で読み終えたました。

映画『オデュッセイア』が始まると知った時、
主人公がマット・デイモンと知った時、
『報われる時が来た』と思いましたよ。

日本上映 2026.09.11~

トロイヤ戦争

まだ神さまが人間世界に直接手出しをしていた頃…紀元前12世紀くらい

神さまの派閥争いに人間が巻き込まれています。

ことの発端は争いの女神エリスがテティス(女神)とペレウス(人間)の結婚の宴に招待されなかった事を恨んで、争いの種を撒きます。

『黄金のリンゴは一番美しい女神への贈り物です』

と神々の中に投げ込むと、
① ヘラ:ゼウスの正妻
② アテナ:ゼウスの愛娘(母はヘラじゃない)
③ アフロディテ:愛と美の女神
が『私こそが相応しい』と譲りません。

(何故か)トロイヤの王子パリスが、
誰が黄金のリンゴを手にするに相応しいか決めなさいとゼウスから指名受けます。

それぞれがトロイヤの王子パリスへ賄賂というかそれぞれの職分においての贈り物約束します。

① ヘラは、アジアとヨーロッパの王
② アテナは、どんな戦いにも勝てる武運
③ アフロディテは、女神アフロディテによく似た人間界の美女ヘレネ(スパルタ王の妻)を妻にできる

トロイヤの王子パリスは③アフロディテに黄金のリンゴを渡します。

黙って引き下がるようなヘラとアテナではありません。

ギリシャ軍(アカイア軍)トロイヤ軍
ヘラ&アテナアフロディテ
ミュケナイ(アガメムノン)
スパルタ(メネラオス)
イタケ(オデュッセウス)
などギリシャ全土の連合軍
プリアモス王
ヘクトル第一王子/総大将
パリス
ポセイドンアポロン、(ゼウス)
バルカン半島トルコの西部
叙事詩『オデュッセイア』叙事詩『イーリアス』
英雄アキレウス英雄ヘクトル

※英雄の定義:ここでは、半神半人の人間離れした能力の持ち主、神でも、人間でもない。
とします。

トロイヤ戦争の意味…ゼウス目線

ギリシャ神話は五つの時代に分けられています

1️⃣Golden Age/黄金の時代
神さま(クロノス)が直接支配する世界。
人間にとっても最高だったらしい。
勝手に食べ物は生り、甘い蜜は流れ、優しい風が吹き…。
老いることはなく、眠るように死にます。

2️⃣Silver Age/銀の時代
人間は神々を敬うことをしません。
幼い時が100年、その後大人にはなるものの無知で無謀なゆえ短い生涯となる。

3️⃣Bronze Age/青銅の時代
トネリコの木で作られた屈強な人間。
全てがものが青銅でできている…食べることより戦いが好き、野蛮で物騒な時代。
それでも完全なる邪悪ではなかったって。

4️⃣Heroic Age/英雄の時代
英雄が増え続け騒がしく、重苦しい。
戦争好きな英雄を戦争をさせて滅ぼす事にする。
とはいえ、輝かしい時代でもあったみたい。
そして、死後はエリュシオン/祝福された島々で幸せに暮らしました。
そして神話は終わります。

5️⃣Iron Age/鉄の時代
弱い人間の世界。
神の庇護を直接受けることのない、労働と苦難の世界…今です、あらら。

4️⃣の英雄の時代にゼウスが『世界が騒がしすぎるから英雄を減らして軽くしよう。そのためには戦争が必要だ』と、二つの大きな戦争を計画します。
その一つが『トロイヤ戦争』です。

ゼウスが決めたことは成ります。
それで英雄はトロイヤ戦争でほぼいなくなります。

先に記した結婚の宴事件、結婚した二人
テティス(女神)とペレウス(人間)の子どもが英雄アキレウス。
トロイヤ戦争で活躍し、死ぬ運命を受け入れています。

母テティスは、愛しい我が子が死なないように…、
赤ちゃんのアキレウスのかかと(足首)を握って死者の国の泉ステュクスに浸し不死を願います。

トロイヤの英雄ヘクトルとの闘いには勝ちます。
しかし、その後パリスの放った矢が英雄アキレウスのかかとに刺さり絶命します。
お母さんが握っていた場所かかと(足首)だけが唯一の弱点、アキレス腱の由来の神話。

叙事詩『イーリアス』はトロイヤ戦争の最終盤のお話なんだそう。
まだまだ伏線回収エピソードが出てきそうね。

私はまだ『イーリアス』は読んでいない。
でもあの修行のような『オデュッセイア』を思い出すと…、
今度はもう少し読みやすい本を探そうかな。

オデュッセウスのお立ち寄情報…叙事詩編

地中海まわり
トロイヤ戦争主要地 紀元前12世紀ごろ
トロイヤ戦争後、オデュッセウスの帰路立ち寄り地

トロイヤから
➡︎❶キコネス人の地、イスマルス

➡︎❷忘れ草の国、ロトポゴスの地

➡︎❸キクロプス(単眼巨人)のポリュペモス

➡︎❹風の神、アイオロスの島

➡︎❺ライストリュゴネス(巨人)の地

➡︎❻魔女キルケの島(アイアイエ島)

➡︎❼死者の国(ハデス)

➡︎❽セイレーン、海の魔女の海域

➡︎❾スキュレ、海峡岩壁に棲む六本首怪獣

➡︎❿カリュブディス、海峡大渦潮怪獣

➡︎⓫太陽の神ヘリオスの島

➡︎⓬カリュプソとの7年

➡︎⓭パイエケス人の国の王女ナウシカ

➡︎⓮故郷イタケへ到着も王宮へは直ぐには戻らない。
自分が居ない間の無礼な振る舞いへの復讐。

カリュプソとの7年

冒険譚なのに10年の冒険の中で7年も冒険しないのです。

魔女カリュプソに愛されて魔法をかけられて逃げられなかったんだから…冒険の一部か。

でもでもホメロスは7年とし、それ以前からカリュプソと過ごす時間はとてもとても長い年月としてきたのだと思います。

カリュプソとの7年は見た目は凪の時。
楽園で不老不死を約束された。
でも心の奥の奥の奥では帰りたい、ペネロペ、テレマコスに会いたい。
心の中ことは書かれていません。
だけどオデュッセウスは海辺に座って涙を流しているんですよね。

多くは語られませんが外から見える一見凪のような時間の中でも、オデュッセウスは心の中で戦っていますね。

この7年、オデュッセウスは心の奥の方では罪悪感、葛藤、怯えから逃げ、戦い、向き合うのに必要な時間だったのだと思います。
とすると、古代ギリシャの精神性の高さを感じずにはいられませんよね。

私にはカリュプソとの『7年』という時間を大切にとった『オデュッセイア』という叙事詩が知将オデュッセウスの単なる帰郷の冒険物語ではなく、心をとても大切にしていたギリシャ人が見えてきます。

私はカリュプソとの7年が『オデュッセイアの肝』だと思っています。

映画 オデュッセイア

映画のおかげで、もう一度『オデュッセイア』に触れられて、ギリシャ神話をまた少し深く知ることになりました。

映画では『風と少しの運さえあれば、私たちの船の方が早く故郷に着く』みたいなことをオデュッセウスが言います。

『私ができる』

ギリシャの神さまが大っ嫌いな人間の感情。

10年続いた難攻不落のトロイヤを、木馬作戦で勝利に導き、気持ちが昂ぶり傲慢さが顔を覗かせた。

本では❸ポリュペモスに『ウーティス/誰でもない』と名乗って名を明かさなよう細心の注意を払っていたのにも関わらず、無事逃げ出した船の上で『私はオデュッセウスだぁ〜』と叫んじゃいます。

こんな凄いことできた俺の名を明かさずにはいられない欲。
ギリシャの神さま…嫌いですよね。
ポセイドンへ告げ口されて、10年帰郷できません。

とはいえオデュッセウスは神さまに愛されていますから、命まではとられない。
オデュッセウスは英雄だけど、先に述べた半神半人の英雄とは違って、純100%人間。

戦争、帰り道の数々の苦難…敵、味方、仲間の悲惨な死。
全部自分が招いた、手を下した…罪悪感…味わいたくないものを全部を体験。
⓬カリュプソとの7年はオデュッセウスが『こんな自分は帰りたいけど帰れない』との心の葛藤と向き合うのに必要な期間だったのかな?と思いました。

映画の最後は、愛する妻ペネロペと落ちる太陽を追いかける船の中です。

息子に王位を譲り、ペネロペとの20年前の約束を果たします。
これは帰郷の途中、冥府で誓った弔いのためでもあります。

『落ちる太陽を追いかけよう(逃げよう)』と最初に誘ったのはトロイヤ戦争へ行くことになったが行かせたくない、死んでほしくないペネロペがオデュッセウスに言った言葉です。

アン・ハサウェイの美しいこと。

オデュッセウスとペネロペの会話です。
『なぜ文字でこの伝説をのこさないの?』
『文明は廃れ、文字も忘れ去られる。しかし歌は語り継がれる。』

なるほど、吟遊詩人が歌い語り継いだ伝説を、
ホメロスが文字におこしました。
紀元前8世紀の終わり頃(B.C. 725〜700年頃)。

因みに、ホメロスって人の名前だと思っていましたが、個人名なのか、はたまたギリシャ詩人団体名なのかは議論があるのですって。

注意⚠️映画の台詞は私が記事を書きながら思い起こしたものなので、一字一句正確ではないですが、ニュアンスは読み取って頂けると思います。

映画 オリジナルキャラ

シノン。
アンティノオス(一番タチの悪い求婚者)に雇われていた羊飼い。
トロイヤ戦争への出兵のくじ引きでアンティノオスに当たったくじを、シノンは押し付けられて身代わり出兵。

トロイの木馬作戦では、作戦内容を詳しくは知らされることなく、一人木馬の前に残されて、トロイヤ兵に突かれて死にました。

オデュッセウスが魔女キルケの助言を受け、
冥府との境が曖昧になったとき、
シノンがオデュッセウスの前に現れます。

自分は雇われ人だったため不本意ながらトロイヤ戦争に行くことになり、
国に残した父はアンティノオスに虐げられ死んだ。
身代わりに出兵したのに、この恨み晴らさずにおられるものか。

オデュッセウスには隠し事をされて悔しいと言いました。
そしてオデュッセウスに頼み事をします。
死んでいった名もなき戦士たちを弔って欲しい。

古代ギリシャの考え方で

冥府: 地下世界全体
死者の国:死んだ人がいる世界
タルタロス:悪人の牢獄
アスフォレドス大草原:悪でも善でもない普通に生きたいぼんやりした魂の居所
エリュシオン:楽園。英雄や神に愛されたものだけが行ける。
審判の庭:亡くなったら先ず行く場所。生前の行いを裁き、現世と冥府を隔てる川がある。

ダイナミックな構成

このホメロスの紀元前8世紀の本『オデュッセイア』の構成について。

クリストファー・ノーラン監督のお得意の手法、お好みの手法に、時間があっちこっちに飛ぶっていうのがあるのだとか。

それと同じなのよね。

過去から順々に時間を追って描かれていくのではなくて、
大胆にも、ババーンっと

⓵イタケを出てもう20年が経ちそう、でも未だ消息不明のオデュッセウスを待つ息子テレマコス、妻ペネロペ VS 求婚者たちとの関係を持ってきて、

この手法『イン・メディア・レス/中途からの開始』という専門用語がありましたよ。

⓶過去に苦しみ癒しを求めるオデュッセウスのカリュプソでの7年。

⓷パイアケス国ナウシカ王女に助けられて、オデュッセウス自身が帰郷の10年の冒険を語る回想が始まります。
ここでやっとオデュッセウスにどんなことが起きたのかいろいろわかってきます。

劇中劇のような手法ですよね。

⓸そして帰郷。
しますが簡単には王宮には戻らず、壮絶な復讐劇。

この大胆な構成にあっぱれです!
天才はどの時代にもいるのですね。

おまけ

映画を観た後で『これはもしやあのシーンでは‼︎』と。

公平にする為に…と、オデュッセウスは動物を射るとき、隠れてそっとはしません。
『バイン』と大きく弓を弾いて大きな音をわざと立ててから、正々堂々と対峙します。

それで痛い目にあって、足を縫ってもらうシーンがトロイヤ戦争に向かう前のエピソードにあります。

乞食の格好で帰郷し、身分を隠したまま足を洗ってもらうシーンで、
自分が昔縫った足、オデュッセウス王の足に気付き、ハッとして、ホッとして微笑む年老いた召使。

こんなところにも『映画 オデュッセイア』からの贈り物かしらと嬉しくなりました。

いつかわかるかな?わかりたい!

キーワードは『西』。

◉西に逃げる

◉西に沈む太陽を追いかける(落ちる太陽を追いかける)

◉冥府

◉死者の国

◉弔い

◉ハデス

この辺りの言葉が上手く言葉にできない。
説明をいろいろ読んでも、上手く自分の言葉で納得の説明を記せない。

タイトルとURLをコピーしました